兵衛向陽閣の女将・風早万須美です。
当館では5月11日より、伝統の「月替わり会席料理」のお献立が一新いたしました。
私どもでは毎月お料理のお献立を替えさせて頂いております。
伝統を生かした兵衛の味、そして料理長工夫の新しい味、
温故知新の、目に彩、舌に彩な、優しいお味です。
「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」
「青葉」の鮮やかな緑を目で、
「ほととぎす」の歌声を耳で、
「初鰹」の若々しくさっぱりとした食感を舌で、
3つの感覚を使って夏の到来を愉しみ抜くという
わくわくした心意気が伝わってくる俳句ですね。
「目も耳も、ただだが口は、高くつき」
という川柳があるそうですが、かつて江戸では
「女房を質に入れても食べたい初鰹」とまで言われ、
『初物評判福寿草』という初物番付には最高位の「極上上吉」に、
「夏の初鰹」があげられたほどの高級魚で、
なかなか庶民は手が出ない羨望の的だったようです。
初夏の味覚は他にも、鱧、淡路の新玉葱、新レンコン、雲丹などを
取り揃えた兵衛伝統の会席料理の数々をお愉しみいただけます。
今年は、NHK大河ドラマで大人気の「坂本龍馬」さん。
彼の出身は「鰹の一本釣り」でも有名な「土佐」ですが、
去年、その「鰹の一本釣り」が資源管理に配慮した漁業である、とされ、
国際的な「海のエコラベル」認証を取得したとニュースになりました。
世界的に、海の汚染や水産資源の減少、絶滅危惧種の問題が深刻化していますが、
いつまでもこの時季に「初鰹」を、兵衛の月替わり会席料理の一品として
皆様にお届けできることを祈りつつ。
兵衛向陽閣 女将 風早 万須美